私だって、変なことを言っている自覚はあった。

 どうせ、こんな事を言っても信じないだろうって思ったし、何か変なことを言い出したぞと、ここでくるりと振り返り、名前も知らない彼は無言で行ってしまうかもしれないなって想像していた。

「へえ……それは、放っておけない。由々しき大問題だね。良かったら、僕に詳しく聞かせてよ」

 彼は興味津々で呟き私へ近づくと、座ったままの私の隣へ、するりと軽い動作で腰掛けた。覗き込んだ顔が初対面の人とは思えずとても近いので、私は慌てて後ろへと身体がのけぞらせた。

「近い。近いですっ……もう少し、離れて」

「ごめんごめん! 君の話が、本当に興味深くてさ。ついつい……で、どうして、世界が終わってしまうの?」

「私は本気なんです。もしかして、揶揄っています?」

 あまりにも食いつきの良すぎる彼の対応に、なんだか心の奥から不信感がむくむくと押し寄せて来た。

「そんな事はない。誤解だよ」

 っていうか……この事態を、完全に面白がってる? 私の話は前世のこともあって何もかもは明かせないけれど、全部本当のことなのに。