時間つぶしにゆるく楽しむ程度のエンジョイ勢だったから、分厚い攻略本みたいな知識量なんて覚えてないんだからねー!

「竜かー……良いなー……何もかも、全部忘れて、私もどこかに行きたいな……」

 あんな美しい竜に乗って、世界を飛び回れるなんて、最高以外の何ものでもない。

 その時、まるで私の声が聞こえたかのように、青い満月に照らされていた白い竜は、くるりと綺麗に旋回し、私の居る寮の方向へと進路を変えた。

「……え」

 悠々とした速度で夜空を飛行している時には見えなかったけど、誰かが竜の背に乗っているの!?