王太子は楽しげにそう言ったけれど、私以外の含む周囲に居る全員がざわざわとざわつき、恋愛関係の話が大好きなフローラは嬉しそうに高い悲鳴をあげていた。

 そして若干の距離を空けていた……止めて! 私、結婚するって聞いてないよ!

「いえいえ。旅行はしようとお約束しましたが……!」

 私の知らないところで、明日の魔法界トップニュースになってしまう……これは、変な事になって来た慌てた私は、王太子の話を否定しようと手を横に振った。

「兄上……それは、本気なのですか?」

 慎重に言ったエルネストは、好奇の視線をこちらに送る周囲を見渡していた。

 そうだよね。本気ではないよね。本気ではないって言って!

 王太子殿下の思わぬ爆弾発言に周囲はざわめくし、その相手であるはずの私だって、なんと言って良いものかわからずに固まって居た。

 ここで否定すると、不敬にならない? エルネストはただ優しいから、以前のロゼッタのことを許してくれていたけれど、本来なら王族って逆らってはいけない人なのよ!