私を庇いに来たのは、イエルクで……彼は、ドワーフに育てられた魔法使いで、確かに彼と結婚したからと政略的な意味での恩恵はないかもしれないけれど、成績は抜群で神童と呼ばれているのよ。

 両親から関係を深めるように命じられていたエルネストについては、そういった意味で相手にされていないのは確かだけれど、最近は恋愛めいた事を言い出して迫らなくなったせいか、普通の会話ならば話してくれる。

 今だって審判と話していなければ、紳士な彼は庇いに来てくれた可能性だって考えられるのだ。

 サザールは私を似て嘲るように顎を上げたけれど、私は何もわかっていない振りをすることにした。

「まあ……お兄様。それってどういう意味ですか? 私は一度では理解仕切れず、申し訳ございません」

 すまなそうに口に手を当てて、私は肩を竦めた。ここで私が何か言い返したり嫌な態度を取っても、サザールと共に私の評価が下がってしまう。

 敢えてわからない振りをしているとサザールも周囲も思うだろうけれど、それで良いの。

 色々と評価が下がってしまうのは、性格の悪い兄だけで良いわ。