そして、彼の身体をもって鋭い刃のような風から庇ってくれて、多くの血を流していたオスカーは、駆けつけた救護班に治癒魔法を掛けられていた。

 きっと……大丈夫だろう。これで、オスカーは最高級の治癒魔法が受けられるはずだ。

 けれど、この事実はオスカーがもう魔法学園対抗戦には出られなくなったことを示していた。

 今アクィラの面々には治癒魔法の使える人は居ないし、こうするしかないけれど、外部の力を借りると、出場する権利を失ってしまう。

 これを計算したのか、サザールはその時に嘲るような表情を浮かべていた。

 私がサザールを睨みつければ、仲間に何かを話していた兄は、素知らぬ顔をしていた。

 手元が狂って攻撃する方向を間違えたとしても、それは対抗戦の一部であって、ここで観戦していた私たちに危害を加えようとした訳ではないと、そう言いたかったのだろう。

 あのバカにしているような表情を見れば、これを故意にしたことは、一目瞭然の事実だと言うのに。

 アクィラの生徒会にはあまり人数が居ないし、オスカーがここで退場することになれば、規定の人数から一人足らなくなってしまう。