そして、私はエルネストから渡された、あの四角い小箱に入っていた指輪の事を思い出した。

 彼から渡されて咄嗟にポケットの入れたそれは、強い魔力を持つエルネスト曰く、守護の力を感じるという指輪。

 不思議なことに、アクィラ魔法学園を象徴するような鷲が刻まれていた。その時に閃いたのは、双月草を

「……何だろう。確かに、何か不思議な気配がする……」

 私がそれを薬指に嵌めると、何かが起こるような気はしていたけど……気がしただけだった。何も起こらない。なんとなくの期待感だけで、何もなかった。

 なんなの……私の予感って、当たらないの?

「ロゼッタ先輩……試合が、始まりますよ!」

 単に指輪を嵌めただけに終わった私は、フローラに声を掛けられて、いよいよ始まった魔法対抗戦に目を向けた。

 魔法学園対抗戦、アクィラ対ファルコの戦いは、初戦からだ。

 兄サザールは緑魔法の使い手なので、風を操る。こちらを見上げて、何か意味ありげに微笑んだ時から、嫌な予感がしていた。

 この予感こそ、当たらないでよ……!

 私たちは通常の客席ではなく、これから戦う彼らの近くにある関係者席に居たので、きっとあの兄はこう思ったのだろう。