アクィラ魔法学園に通うロゼッタは、サザールの通うファルコ学園を、敢えて避けていたのだ。

 だって、違う魔法学園に通うことになれば、こういった長期の休み以外は兄妹といえど寮で過ごすことになるからだ。

 ロゼッタはディリンジャー家に居たがらないけど、まだ学生である彼女は寮が閉まれば、この家に帰るしかないという仕方ない現状があった。

 何故、サザールがそんなにも妹を虐めているのかと言うと……ロゼッタはディリンジャー家の伝統である赤魔法を受け継ぎ、サザールは緑魔法で、なんならロゼッタの方が魔力の総量の数値が多い。

 それは、この魔法界では産まれた時に『属性判定』があり、公式な書類にも書かれて、はっきりとしている単なる事実だった。

 残酷なことに魔法界では産まれた時に行われる判定で、子どものその後の運命が決まると言っても過言ではなかった。

 ロゼッタはそれを理解しつつも、やたらと自分に当たり散らす兄に怯えていた。

 『弱い立場をどうにかしたい。両親にだけは認められたい』と、必死でエルネストに迫って結婚して王族の一人になろうとしていたらしい。