「実は私も、兄と上手く行ってないんです……兄はファルコ学園の生徒会のメンバーで……実は、今ここに来ています」

「えっ……そうなんだ? ……上手く行ってないって、どのくらい?」

 オスカーは私の兄の話に、かなり驚いていたけど、彼は慎重に話を広げることにしたようだ。

 ……うん。わかる……家族の話って、デリケートだもんね。

「兄サザールは私を、会うたびに罵倒します……好かれるのも嫌われるのも、適度が良いですね」

「それは……嫌だね。俺がロゼッタちゃんの兄なら、猫かわいがりするのに……」

「ふふっ……そうですね。私もお兄さんにするなら、オスカー先輩が良いです。エルネスト様には、いつも怒られてしまいそうで」

「そっか……エルネストは、真面目だからね」

 私と親友の話は、あまりしたくなかったのか、オスカーは浮かない表情を見せた。

 しまった……これは、あまり良くなかったかもしれない。それは、確かにそうだよね……私が諦めてくれて、ほっとしているのは二人だと思うし……。

 そわそわしてしまった私は時計を見て、そろそろ生徒会のメンバーが集まる時間だとオスカーに伝え、私たち初めてのダンスの時間は終わった。