「オスカー先輩は女性に優しいから、それはそれで良いと思います。けど、相手の代わりに自分が傷ついていたら、良くないと思います。お互いに良い関係になるために、嫌なことは嫌だと言わないと」

「うん……ありがとう。踊る?」

「オスカー先輩、大丈夫ですか?」

「いや、ロゼッタちゃんが大丈夫なら、大丈夫……姉のことは嫌なことは嫌だけど、慣れてると言えば慣れている」

 私はさっきと同じように、オスカーに片手を差し出し、彼はそれを恭しく手に取った。ゆっくりとした音楽で踊り、私は明るい表情のオスカーどうしても無理しているように見えた。

 それも……そうだよね。あんなところ、誰にも見られたくなかったに違いない。

 私だって、サザール兄さんと上手く行っていないと言ったら、そうだし……兄弟に悩んでいる者は彼一人ではないと教えようかと思った。