既に目の敵になってしまっているので、何の問題もないです。

「そんなの……別に構いません。オスカー先輩は気にしないでください。私は彼女に嫌われたところで、痛くも痒くもありませんし」

 それは、本当にそうだった。

 あのサリーに嫌われたからって、私の人生、何の問題もない。敵は一人でも少ない方がそれは良いだろうけど、こっちから仕掛けた訳でもないし彼女の言い分は勝手過ぎるし。

 私の言葉を聞いて、オスカーは項垂れて、首の後ろへ手を置いた。

「そっか……ロゼッタは、とても強いね。俺は腕っ節は上がっても、ああやって姉に迫られると断れない。はっきりと言うべきだと思うが、自分より弱いものを傷つけることには抵抗がある」

 義姉サリーに植え付けられたトラウマは、オスカーの最大の悩みとも言える。

 乙女ゲームの中では、フローラと共に解決していくことになるんだけど……彼女は庭師ルークさんに夢中なので、その線は薄そう。

 ……いつか、そういう女性が現れて、彼のトラウマがなくなりますように。