「それは……理解しましたけど、私はオスカー先輩とは好きな時に話します。別に肉親からの要請だからと貴女の言うとおりに動かなければならないと言う理由だってないので」

 オスカーの家も貴族だろうけど、私のディリンジャー家だって立派な貴族で彼女の要求を呑まなければならないと言うこともない。

「……後悔するわよ!」

「私……少々急いでおりますので、失礼します」

 私は貴族らしくカーテシーをすると、怒った表情を隠さないサリーの返事を待つこともなく背後を振り返って先へと進んだ。

 すごい……私だってサリーと同じように、貴族のお嬢様ではあるけど、あんなにまで傍若無人ではないわよ。

 ……ううん。前世の記憶を取り戻すまでは、違っていたかもしれないけど。

 だって、ロゼッタは悪役令嬢だったもの。