純粋なイエルクは本当にっ……何もわかっていないようだ。

 それも、そうか……イエルクはいろいろあって、ドワーフの養い親の常識を常識だと思っているし……あの付き合っているという青田買いの幼なじみの女の子以外には、あまり話したことがないんだよね。

 イエルクは悪くない。彼が今まで過ごして来た、環境が悪いだけで。

「あのね……こんな事をされたら、普通は誤解してしまうの」

「誤解?」

 キョトンとした顔は、私が言いたいことを全くわかっていない。

「普通はこんなことをされてしまうと、イエルクが、私のことを好きになったのかと思うの。けど……私は大丈夫だよ? 貴方に幼なじみで付き合っている人が居るのは知っているし、それは別に構わないの。けど、こういうことを他の人にはしない方が良いよ。面倒なことになるのは、貴方だって、嫌でしょう」

 好きでもない人に好かれて、とても迷惑をしていたエルネストに良く聞いて欲しい。あれをした当事者の私だって、今考えると恥ずかしくて穴に入りたくなるのだ。

 それを向けられていたエルネストは、どれだけ迷惑だったんだろう……本当に悪いことをした。