彼らは生徒会としてのカリキュラムをこなして、もう既に学園へ帰って来ていると思うけど……私だって、せっかくだし、合宿最後まで居たかった気持ちはある。来年もあるけど、私は最高学年だから、行けないかもしれないし……。

 結局のところ、完全に回復するまで十日ほどベッドに居て、部屋の中には読む本もなくなり、すっかり暇になってしまった私は、何気なく窓を開けた。

 そして……とてもとても驚いた。

「イエルクくん……? そこで、何してるの?」

「あ。先輩……びっくりしました」

 信じられない場所で落ち着いた様子のイエルクは、私が窓を開けても動揺した気配は無い。

 それは、こっちの台詞だよ! なんて、すぐに言えなかった。あまりにも、驚き過ぎて。

 私は自分の目に映る彼が信じられなかった。何故かと言うと、私の部屋は寮の五階。普通ならばそんな高さで、急角度とも言えるくらい斜めになっている屋根に座ろうなんて、思ったりしない。

 そう……高所にある窓の外側、すぐそこに、イエルクが平然として、屋根の上に座っていたのだ。

「え。何……どうして、ここに居るの? ……怒られるよ?」