そして、洞窟の中で急流に流されてしまった私は、ものの見事に風邪をひいてしまった。

 体調が悪くなってしまえば、皆で楽しい夏休み合宿なんて、一緒に何も出来ないんだから楽しめるはずもない。

 その後は三日ほど、合宿所で大人しく寝ていたし、そこから動けるようになるまでに回復すると、生徒会顧問のエッセル先生に付き添われて、四人を残し一人だけ帰寮する事になった。

 あれだけ芯から身体が冷え切って気を失い、凍死寸前だったのだから、体調を崩してしまうのも無理はなかった。

 けど、エルネストが渋々だとは思うけど、私を助けてくれて……本当に良かった。面倒な女だし、あのまま居なくなったら良いわと、思うような人でなくて、本当に……良かった。

 寮に帰っても私は一人部屋だし、ずっと伏せっていて、病気だからということで、寮母さんが病人食を部屋にまで持って来てくれる。

 わりと至れり尽くせりだし、好きな本を読んでいて、特に不満はなかった。

 ただ、合宿所に四人を残して、こうして一人だけ帰ってきてしまって、なんだか寂しくなってしまうという想いはあった。