エルネストはあり得ないだろうと言ったけど、私はそれがあり得てしまう理由を知っていた。

「意中の庭師に会った時、あの子、寮に帰る道で迷って、庭園にまで迷い込んでしまっていたんです。そこを助けてもらって、知り合ったとか……」

「えっ……嘘だろう。どれだけの道を間違えたら、そんなことになるの?」

 オスカーはフローラのあまりの方向音痴振りに戸惑った様子だった。

「そうですよ。寮と庭園は、校舎を挟んで全く逆方向ですよ……それに、その間にはいくつも表示があるはずです。まさか」

「そうだな。ロゼッタの言う通りだ……それほどまでに方向音痴なのなら、俺たちが想像を絶する迷い方をしているのかもしれない」

 私が何を言わんとしているかを、他の三人もわかってくれたらしい。

 アクィラ魔法学園内は広い。けれど、表示がいくつもあるし、気をつけて進めばそんなに迷うこともない。

 けれど、度が過ぎた方向音痴のフローラはそこで迷い、そして、明後日の方向へ行ってしまっていたのだ。