辛い、悲しい、苦しい。

 恋心を捨てたい、この悲しみから逃れたい。

 霞くんを諦めるための最適解は……


 絶望にひたっている時のひらめきほど、とりつかれ注意なのかもしれない。

 数週間前の僕は本当にどうかしていた。

 でも、これしかないとすがってしまった。


 【霞くんと誰かを僕の脳内で恋人にして、推しカプだと思いこめばいいんだ】


 BL好きの腐女子ちゃんが親友だからだろうか。

 自分のものとは思えない湾曲ぎみのひらめきが、病んだ脳に降ってきたあの日。
 
 霞くんのお相手?

 間違いない、心を許している彼しかいない。

 俺様っぽいのに親しみやすくてコミュ力が高い。

 僕が勝手に恋敵と思い込んでいる、赤城(あかぎ)奏多(そうた)くん。

 テニス部に所属していて、霞くんとダブルスのペアを組み、先日の県大会で優勝を果たしたスポーツ万能イケメン。