「私が推しカプを壊すなんて絶対に嫌だからね」

 「僕と霞くんの縁はもう繋がってないよ。それに僕は霞くんのことなんて好きじゃない」

 「ほんと?」


 疑い深いジト目やめて。

 右腕がぶり返したように痛みだしちゃう。


 「……あっ、うん。好きじゃない、好きじゃない」と、髪が行ったり来たりするほど頭をブンブンブン。

 「いま間があった」


 鋭すぎ。この子は僕の心を読めるエスパーなの?


 「すぐに返事できなかったのは、卵こぼしそうだったから」

 「動揺しすぎて菜箸で高速カシャカシャしてる。卵泡立ってる。テラッちあやしい」

 「だから何度も言ってるでしょ! 僕の推しカプは霞くんと奏多くん! 僕と霞くんは地雷カプ!」

 「ふ~ん、俺様系の奏多くんが受けなんだ」

 「嬉しそうにニマニマしないで。流瑠ちゃん経由でしかBLの知識が入ってこない僕には、攻めとか受けとかわからないから!」


 お願いだから流瑠ちゃんやめて。

 僕の恋心を放っておいて。

 変にかき乱さないで。

 霞くんが僕を毛嫌いしているのは現実なの。

 あからさまに避けられているの。

 もう限界。

 しんどい。
 
 恋心を捨て去りたい。

 なんで僕、霞くんなんかを好きになっちゃったんだろう。