そんな彼女にはこの高校に推しカプがいる。
これまでの会話でわかっているとは思うが、もう一度伝えておこう。
流瑠ちゃんが脳内で愛してやまないカップルこそ、霞くんと僕なんだ。
僕らの名前2文字を取って【カステラ】と命名したのが小5の時というから、カプ愛でに年季が入っている。
腐の沼に落とした張本人が僕という事実を聞いて頭を下げたこともあるが、本人は幸せらしく、腐女子に変化した瞬間から脳内バラ色に染まるようになったそう。
『人生に潤いをありがとう』と、高校の入学式で初めて言葉を交わした時に感謝されてしまった。
その時は説明不足で、いったい何のこと?と首をかしげたのだが。
小5から中3まで脳内で僕たち推しカプを勝手に妄想しすぎたせいで、会話をしない現実の僕たちが許せなくなってしまうみたい。
そう言われても僕を避けたのは霞くんの方。
僕は今でも霞くんのことが大好きだし……