そりゃあ、そうだよね。
 ゲームスタート時の好感度は決まってるんだもん。何も変わらないはずだよ。
 それに、それくらいで好感度が上がるなら伝説のクソゲーなんて呼ばれてないし!



 攻略対象者たちの気難しさは、ゲーム上でも実際にこの世界で会った上でもよく知っている。
 正直言って、あんなヤツらの好感度を100%にするなんてほぼ不可能だ。


 
 明日本当にゲームの内容がスタートしたら、私はきっとあと1ヶ月も生きていられない……。
 なんとしてでも、早くエリーゼを見つけなくちゃ!




 ***




 翌朝。
 苛立だった若い女性の声かけで、目が覚めた。


「何をしているんですか。早く支度をしてください。もう時間がないんですから!」

「…………え?」


 ボーーッとする頭で布団から顔を出し、声のしたほうを見る。
 部屋の入口に立っている水色の髪のメイド──マゼランが、イライラした様子でベッドに横になっている私を睨みつけていた。



 ……あれ? 朝?



 昨夜はなかなか寝つけず、深夜までこれからの計画について考えていたはずだ。
 朝方まで起きていた記憶はあるけれど、いつの間にか寝てしまっていたらしい。



 えーーっと、支度ってなんのことだっけ……?



 まだ寝ぼけた頭でそんなことを考えていると、ピロンという軽快な電子音が聞こえてきた。
 それと同時に目の前に白い文字が現れる。


『どこへ行く?

 ①教会 
 ②図書室 
 ③どこにも行かない』



 ……この質問は……!!