……せっかく生まれ変わったのに、また家族がいない人生だったなんて。私って本当に運がないんだな。
 今はこんな綺麗な家に住めてるけど、それも身代わりとしてだし……。



 田舎の孤児院でひっそりと暮らしていた私は、1ヵ月前突然このワトフォード公爵家に連れてこられた。
 その理由は、行方不明になった公爵家の長女に私がそっくりだったから。

 詳しい事情はわからないけど、その子の身代わりとして来てほしいのだと代理人の方に言われた。
 孤児の平民だった私に、選択肢はなかった──。



 身代わりっていっても本当の家族として接してもらえてるわけじゃないし、なんのための身代わりなのかよくわかんないんだよね。
 なんか、まるでさっき思い出したゲームみたいっていうか…………ん?



 そこまで考えて、何かが閃いたような感覚が走る。
 

「……ちょっと待って。これって、あのゲームの設定と一緒なんじゃ……」


 ついさっき思い出した前世で、私がやっていたゲーム。あのゲームヒロインの設定と、今の私の状況が同じなのだ。



 っていうか、フェリシーって名前もヒロインの名前と一緒じゃない?
 この家の3兄弟の名前も……エリオットにディランにレオン……みんな同じ!!



 ドッドッドッと速まる鼓動を感じながら、頭の中にはそのゲーム画面が浮かんでいた。
 煌びやかに並ぶ、美しい3人の攻略対象者たち──その3人は、まさにこの家の3兄弟の顔そのものだ。



 待って。……待って!!!
 もしかして私、あのゲームの世界に転生してたの!?



 何度チャレンジしても一度もクリアできなかった、伝説のクソゲー。
 好感度がゼロになったヒロインに待っているのは……死だ。



 嘘……!
 このままじゃ私、あの3兄弟に殺されちゃう!!!