やっぱり選択肢も全部同じだ……!
 


 突然私が何もない空中を見上げたからか、ディランが眉を顰めて不審そうに問いかけてきた。


「なんだ? 何を見てる?」

「あ……いえ。なんでもないです」

「フン。不安すぎておかしくなったか? 制限時間は5分だ。5分経ったらメイドを部屋に入れる」

「わかりました」


 ディランは最後に私をジロッと睨むなり、スタスタと部屋から出ていった。



 はぁ〜〜っ。
 アイツがいるだけで空気が重すぎるっ!
 何がおかしくなったか? よ!! おかしいのは自分でしょ!!
 5分しかないし、さっさと①を選んで…………あれ?



 ①に手を伸ばそうとして、ハッとする。


「おかしくなったか? なんてセリフはなかったはず……」


 それもそうだ。
 ゲームの中のヒロインは、私みたいに空中を見上げたりしていなかったのだから。



 セリフも行動もゲームとまったく同じになるかと思ったけど……そんなことないの?
 そういえば、私の口や手足が勝手に動くこともないし、自由だわ。



「もしかして……ドレスも自分で選べる……?」


 宙に浮かんだ選択肢を無視して、部屋の中にあるドレスルームに向かう。
 警告音みたいなものが鳴るかと覚悟していたけど、特に選択肢を迫るようなことは何も起きない。



 この選択肢以外からドレスを選べるなら、もしかして好感度を下げずに上げることができるかも……!!