どの選択肢を選んでも必ず好感度の下がる最初のイベント。
 どうせ下がるなら、できるだけ減る量が少ないイベントを選ぶべきだ。



 現時点で1番好感度が高くて、1%ずつしか減らない三男レオン!
 レオンに会うために、ここは図書室を選ばなきゃ!



 そう思いながら文字に手を伸ばす。
 自分ではわりと冷静でいたつもりだったけど、実際にはこの状況に緊張していたらしい。

 ガタガタと震える私の指は、狙っていた『図書室』ではなくその下の『どこにも行かない』を押してしまった。
 ピロンという音と共に『どこにも行かない』の文字が光る。



 あああああっ!!! 嘘でしょ!?
 間違えて③を押しちゃったああああ!!
 


「どこにも行かないのですね。わかりました」

「あっ……!」


 選択肢を選んだあと、メイドはムスッとした顔で部屋から出ていった。
 これも、ゲーム通りの流れだ。



 行っちゃった……どうしよう!!
 ゲームの流れなら、この後ここにディランが来るはず!
 


 自分の決定的ミスに、思わず頭を抱えてしまう。



 あああっ、もうっ!!
 なんでよりによって乱暴者のディランにしちゃったの、私!!