毎度のことながら言うが、オレあ男色の気はねえ。
抱くンなら豊満な肉付きの人妻か新妻が好みだ。
若えとどいつもコイツも彼女ヅラしたがるしシやがるからな。
ソイツはメンドくせえ。
・・・・・オレは今来も生涯もオンナを娶るつもりは、一切、ねえ性分でよ。
ヒィーひぃー土下座するように額を石畳になすりツケ命乞いしてクる男の頭頂部を、色も感情もなく見据えながら、
「これに懲りたら裏社会側には二度と来ねえこったナア。アンタ、自分のソノ安定した役職も大事な家族もナンもかんも見限って淫売を職にするヅラじゃねえダロ?」
お優しい政府さんに守られてヌクヌク育ったハンパ者が興味本意で突っ込んでも、
なあんもイイことなんかねえよ。
────…まあ、それは。
裏街道の番人ふぜえのオレにも、言えるコトだけどナ。
「おら、もうイケよ。そんで、
……二度と
コッチ側には足踏みイレんじゃねえゾ」
今度はオレが助けてやる前にテメェ、本場のオークションでイカレちまうゼ?オッサンよお。
そんな意図も込めて目に、薄ら笑いを浮かべたオレを、血だらけの禿げた中年オヤジは
ヘラっと笑って「へぃっ。はいっはい、もうしましぇんっ」フラフラ〜っと酒飲みみてえな
切り返しと、足取りのまま
もと来た道を満身創痍で引き返していく。