テーブル席のいっちばん端で、酒場だっつのにちびちび、ソフトドリンクを嗜んでる黒髪の、相当カタブツそーなタイプの違えオンナ。
座敷童子みてえーに、丁寧に切り揃えられた前髪とセミロング丈の後ろ髪。
眉は若干、前髪で隠れてるせいで実年齢よりは若く見られそーな平凡な顔のつくりのソイツは、かなりの童顔で。
・・・・・フッ。
暑いのか、頬がガキみてえに火照ってる。
(……へえ)
トン、トン、とん、っと。顎に添えた指先でリズムを刻みながらオンナの
どっか居心地ワルそーな顔付きがオモシロくなって
顔をフラッと。
横にずらしたオレは、ソイツを観察するように目を細めた。
公務職にでも勤めてそーな、今どき珍しいお堅い印象をまといながら
どっか危なっかしい雰囲気もにじみ出る。
さっきから周りの殷賑な男女が交わす会話にすら一切、割り込まずに
食いモンだけを吟味して
口に入れてくだけの所作の、一風変わったヤツは。
────グイ、と。
ドリンクを仰ぎついでに、動かした視線がテーブル上の料理から
コッチ側に移動すると、
ふ、と。目がカチ合った。
「…」
「…」
────フイ、とそらされた視線。
まるで『キョーミありません』っつーかのように無関心にハズれた眼差しの奥には、
とは言え陰湿さが垣間見える。
ンな直感から視線逸らしたオンナの注目を集めてみたくなってジィーーっ。と凝視してみンのに
気づけば、
ソイツが視界に収めんのは、調理物ばっかでソレにも、
苛立ちが募った。
そんでちょうど
そンくらいの頃合いで、────…。
「あぁ!ごめんねぇ海屋さん。もう帰るよね?人数合わせで来てもらっちゃったのにお酒飲むお店にしちゃって悪い事したねー。いいよ、帰ってもらってぇ」