「ええ。そうですわ。ランベルト様は、清楚で可愛らしい外見の女性がお好きなのです。ですので、それとは逆の容姿を持つ私と婚約するよりも、王太子なのに婚約者を決めない変わり者と呼ばれようと、いずれ結ばれる彼女に一途であった方が良いと思いますわ」

 私はそこまで一息で言い切ると、用意されていたお茶をこくりと飲んだ。

 私は彼と同じく金髪碧眼で、目も大きくつり目で派手な美貌を持っている。それは幼い頃からでもわかるくらいだ。ああ。将来は魔性の美女になるのだろうなと思わせる整った容姿。

 幼い頃に記憶を取り戻す悪役令嬢ものを読むたびに、私は常々こう思って居た。

 完璧ヒーローなら、悪役令嬢だったとしても話を聞いてくれるはずだし、彼の幸せやメリットを説明すればわかってくれるのでは? と。

 今、実際にここで実践している訳だけれど。

 私の主張を聞いてランベルト様は右手で額を押さえて、いかにも頭が痛いと言わんばかりだ。すべて事実なのですけど。

「ああ……すまない。あまりにも衝撃的な話が続いて……」