「婚約の顔合わせの、あの時ですか?」

 嘘でしょう……私ったら、全部が全部。自ら墓穴を掘っていたことになる。

「ああ。イリーナと僕が婚約するのは、政治的な理由に他ならないが、君のさっぱりとした気性も気に入ったのだ。君によると容姿が好みらしい、あのエリサよりもな」

「……エリサと、恋に落ちなかったんですか?」

「何を言う。さっき言っただろう。僕は君の方が好きだと。それに、水面下だとしてもイリーナと婚約しているのだから、よほどの事がなければ、君と結婚する。明日、そうするようにな」

 真面目で誠実な性格の、ランベルト……それは、そうだよ。