私の隣に居たエリサは聖女と呼ばれている、銀髪碧眼の美しい美女だ。今日は卒業式なので、彼女は美しい青いドレスを着ていた。
今はまだ少女の面影を残しているものの、匂い立つように美しいというのは彼女のためのあるような、不思議な色気ある女性だった。
乙女ゲームヒロインはこんなにも美しかったら、好感度の上下なんて関係ないし、一目惚れしてすべて終わってしまうような気もする。
それほどに清楚で儚げで、美しい容姿を彼女は持っていた。
「あら。エリサ様。ありがとうございます。いよいよ卒業式ですわね」
私は彼女が手渡してくれた果実水が注がれたグラスを受け取り、空になったグラスを通りがかった給仕の盆の上へ置いた。
「ええ。イリーナ様のおかげで……何もなくて、済みましたわ」
私がランベルト様にぶち撒けた乙女ゲームのすべての情報は、エリサや攻略対象者たちに共有されて、すべての悲劇は事前に回避しているそうだ。
バッドエンドフラグが立つも何も、旗そのものがすべてないのだから、彼らが苦労するものは何もなかった。
そして、イージーモードも最たるイージーモード。