しかし、わたしには迷っている時間はなかった。

働きながらの物件探しは大変だし、それまでホテル暮らしをする余裕なんてない。
だからといって、次の家が見つかるまでフラレた男と同じ家には住みたくない。

わたしは契約書にサインをすると、用意されていた封筒に契約書を入れポストに投函した。

今までそれなりに苦労して生きてきたが、わたしにしては大胆な決断をしてしまった。

でも、もうこれしか選択肢がなかった。

わたしは突然決まった新居に戻ると、ベッドに横になった。
まだ二日酔いの余韻が残っている。

気付けば、わたしはベッドの上で眠ってしまっていた。


次の日、カーテンから差し込む日差しで目が覚める。

見慣れない景色に一瞬驚いたが、そういえばここに入居するって決めたんだと気付く。

スマホで時間を確認すると、7時を過ぎていた。

ヤバッ!着替えて行かなきゃ、、、って着替えない!

わたしはとりあえずシャワーを浴びると、3日目になる仕事用の服に袖を通し、香水で匂いを誤魔化した。

今日の帰りに服だけでも取りに行かなきゃなぁ、、、

そう思いながら、出勤したのだった。