「あ、あのぉ、それで、どうして、わたしをここに?」

わたしがそう訊くと、本宮社長は「こないだ、水瀬さんと話したら楽しかったから。」と言った。

こないだ、、、あの夜のことだよね。
全然覚えてないけど、わたしとそんなに話してたんだ。

「あのぉ、わたしあの日のこと全然覚えてないんですけど、、、そのぉ、確認というか、、、えっと、わたしたちって、そうゆうことは、、、。」

わたしが遠回しに男女の関係を持ってしまっていないか確認しようとすると、本宮社長はそのことに気付いてくれ、「あぁ。」と言うと、続けて「心配しないで?何もないよ。俺は、むやみに女性に手を出したりしないから。」と言った。

わたしはホッとすると、「ですよねぇ。」と言った。

「でも、ホテルに運んでからベッドの上で2時間くらい愚痴は聞かされたよ。彼氏にフラレて住む場所がないとか、仕事の不満とか。」

そう言うと、本宮社長は悪戯に笑った。

「えっ!それは大変失礼いたしました!」

わたしがそう言って深く頭を下げると、本宮社長は「いやいや、あんなに感情豊かに話す人、久しぶりだったから楽しかったよ。」と言い、それから立ち上がると「何か飲む?水瀬さん、お酒あまり飲めないんだよね?」と言うと、冷蔵庫を開けた。

「あー、お構いなく!社長さんにそんなこと飲み物を入れていただくだなんて!」
「あ、社長さんって呼ぶのは禁止。和総って呼んで?社長だなんて呼ばれるのは、性に合わなくて。部下たちにも社長って呼ぶなって言ってるんだ。」
「かず、さ、、、。」

本宮社長、和総さんは冷蔵庫からワインボトルに似ている瓶を取り出すと、「葡萄ジュースなら飲めるでしょ?」と言い、高そうな葡萄ジュースをワイングラスに注いでくれた。