少し待つと、ガチャッと鍵が開く音がして、それからドアが開いた。
「いらっしゃい。」
そう言って中から顔を出したのは、ラフな格好をした本宮社長だった。
「お疲れ様です。」
「どうぞ。」
そう言って、本宮社長はドアを大きく開き、わたしを中へ促してくれた。
「お邪魔しまーす、、、。」
玄関に入り気付いたのだが、内装はほとんどわたしが住む802号室と変わりなかった。
社長なのに、、、
社長さんって、もっと立派な家に住んでるイメージだけど。
「急に来てもらっちゃってごめんね。」
「あ、いえいえ。特に予定もなかったので。」
本宮社長に続き、リビングに入ると濃いグレーの革製の大きなソファーが目に入った。
うわぁ、、、高そうなソファー。
そう思っていると、本宮社長は対面キッチンのカウンターに置いてある1人用の椅子に座り、「どうぞ、座って。」と言った。
わたしは「失礼しまーす。」と言うと、その高そうなソファーに腰を掛けようとした。
ソファーには、ラビットファーのようなフワフワのカバーが掛かっており、わたしはそっと腰を掛ける。
すると、ソファーの肌触りとフワフワ具合に感動した。
「うわぁ!フワフワ!猫バスに乗ってる気分!」
わたしがそう言うと、本宮社長はハハッと笑い、「猫バスかぁ。水瀬さん、面白いね。」とカウンターに肘をつき、優しく微笑みながらわたしの方を見ていた。