それでもしばらくの間は、それなりに心おだやかに過ごすことが出来た。妹をいじめる【昼】、素に(もど)ってなかよく過ごす【夜】。

 世間はともかく、家の中ではお父様も妹も、それから執事(しつじ)とメイドを含めて、みんなこの家庭の事情をちゃんと理解(りかい)している人ばかりなので、お母さんや私のことを意地悪な人達という目では見ない。
 家族なかよく、和気(わき)あいあいとした雰囲気(ふんいき)の中で過ごすことが出来た。
 ちなみに執事(しつじ)やメイドは昼のよい子タイムには部屋で休んで姿を見せない。夜の自由時間のみ出てきて、家事などを手伝ってくれる。
 物語の設定上、よい子タイムには妹が一人で家事をこなさなければいけないからだ。

 たまによその子供から私のことを“意地悪な姉”としてののしられることもあるが、そんな時は夜になるのを待って、妹がその子に直々(じきじき)
「お姉様をいじめると承知しないわよ!」
となぐり……いえ意見を言いに行き、私に二度とひどいことを言わない、という約束を取り付けて意気揚々(いきようよう)と帰ってくる。
 私の可愛い妹は、竹を割ったような気持ちのいい性格だ。