レッドカードを切られるようなことをした時に、どんな(ばつ)が与えられるのか、それはもう都市伝説となり、恐ろしい刑罰(けいばつ)がまことしやかにささやかれている。

 ある者は「ギロチンにかけられる」と言い、ある者は「車裂(くるまざ)きの刑だ」と言う。
 またある者は「裸に()かれて体中をミミズにはわせる」と言い、更にある者は「逸脱者の近くにネコチャンを置く。ただし絶対に手にさわれられない距離(きょり)をキープさせられ、どんなに触りたくても触れない、どんなに吸いたくても吸えない、拷問(ごうもん)のような一生を送る」と言う。
 
 どれも背筋がゾッとする話だ。

 はっきりと刑罰(けいばつ)がわからない分、皆の想像力がかき立てられ、どんどん恐ろしい妄想(もうそう)に取りつかれているようだ。
 
 でも妄想(もうそう)をふくらませられるのは、けっきょくあまりストーリーと絡むことがなくイエローカードをきられそうにない立場の人だから、楽しんでいるだけなのだと思う。

 物語に直接的に深く関わっていて、かつ、その役割(やくわり)によるダメージが大きい人間にとっては、とても楽しむ気にはなれない。カードを切られないよう、冷や冷やしながら日々を送るだけだ。