しかし、どんなにイヤだと言っても、これはすでに決まってしまったことらしいし、私に拒否(きょひ)出来るだけの力はない。今まで私がこの世界のことを知らずに来られたのは、物語に登場する前だったからだそうだ。

 今日、この新しい家で、父と妹とあいさつを交わした後は、私はヒロインをいじめる義理の姉としてこれからの日々を生きなければいけない。覚悟(かくご)するしかなかった。

 そうだ、あれがこの世界の姿を知った日だったんだっけ。あの子に、私の妹《シンデレラ》に初めて会った、あの日が。

 あれ以来、私は世間知らずの少女ではいられなくなった。何も知らず、泣き虫でお母さんに抱きついてばかりいる子供だった私は、変わらなければいけなくなったのだ。