確かにヒロインにふさわしい美しさだった。誰もが一目で愛さずにいられない、可憐(かれん)な少女。

 絵本やさし絵で彼女の顔を見たら、本を読んでいる子供たちはみんな彼女に夢中になり、応援してしまうだろう。そんなヒロインの姉になれたことに、私は(ほこ)りを持たずにはいられなかった。

 皆に自慢(じまん)したい!私の妹は可愛くて素敵なヒロインなんだ!

 ところが、続いて聞かされた内容は私を奈落(ならく)の底につき落とすようなものだった。お母さんは継子(ままこ)である妹をいじめるママハハ、そしてその娘である私も、妹をいじめる役なんだそうだ。

 そんな……せっかくあんなに可愛い妹が出来たのに、仲良くしちゃいけないなんて。いじめなくちゃいけないなんて。そんなのひどい……。
 涙がポロポロこぼれ落ちた。