シャルロッテは心地よい太陽の光で目を覚ました。
 周りを確認したけれど、残念ながら大きな犬はいない。

(夢かぁ~。都合のいい夢で最高だったなぁ~)

 あんな大きな犬が屋敷に入ってきたら大騒ぎになるだろうから、夢で当たり前だ。
 最高の夢を見たおかげか、身体は少し気だるさが残っていたが、すっきりとしてた。
 上半身を起こし、伸びをする。たっぷり眠ったせいか、身体が固まったように固い。

(そうだ! アッシュのところに行かないと!)

 きっとさみしがっていることだろう。
 ベッドから抜け出そうとしたとき、扉が叩かれた。

「失礼いたします」

 小さな声で言って入ってきたのはメイドのカリンだ。彼女は水の入ったボールを手に部屋に入ってきた。
 シャルロッテと目が合うと、目を丸々と見開き駆け寄ってくる。ボールの水が波打つ。

「シャルロッテ様、お加減はいかがですかっ!?」
「いっぱい寝たからすっきり!」
「心配したんですよ。突然倒れられて、三日も寝込んで……」
「えっ!? 三日も!?」

 次に驚くのはシャルロッテの番だ。

(熱出したのって昨日じゃなかったっけ? あれ?)

 すっかり記憶がない。しかし、カリンが嘘をついているようにも見えなかった。

「旦那様を読んでまいりますから、安静にしておいてくださいね」

 カリンはそれだけ言うと、水の入ったボールを置いて走っていった。それから十分もたたないうちに、カタルが入ってくる。彼の後ろには白衣を着た初老の男が立っていた。医師なのだろう。ベッドの隣に置かれた椅子に座ったとたん、消毒液の匂いが漂ってきた。