ごもっともな質問だと思う。
この帝国では等しく動物嫌いになるような教育がされている。その中でシャルロッテは異端だろう。
「子どものころのことなんですけど、犬に助けてもらったことがあるんです」
「犬に?」
「はい。大きな犬に! あまり覚えていないのですが、森の中で一人で迷ってしまっていたら大きな犬が現れたんです」
小さいころのことだからはっきりとは覚えていない。けれど、あの時の星のように黄金に輝く二つの目はいまだに忘れられないのだ。
「そんなことが?」
「はい。夜の森の中は寒くて。でも、犬が一緒に眠ってくれたんです。それがとても暖かくて心地よくて……」
大きな犬に抱き着くようにして眠った記憶がある。
あの時の感触がずっと忘れられずにいた。動物はこわいと教えられていたけれど、優しくて暖かかったのを覚えている。
それ以来、シャルロッテはもふもふの虜なのだ。
ずっと抱きしめていたい。
「幼いころに森の中で迷子ですか。それは辛い経験だったでしょうね」
「それがあまり覚えていないんです。両親は話題に出したがりませんが。だから、幸せな思い出なんですよ」
シャルロッテは一晩森の中で過ごし、朝になって見つかった。だから、両親にとっては思い出したくないような記憶なのだろう。
両親の気持ちがわからないでもないので、シャルロッテはその話はあまりしないようにしている。
「どうして動物が好きなのかなんとなく理解していただけましたか?」
「ええ、とても。その大きな犬に感謝しなければなりませんね。あなたがいなければ、私たちはお手上げでしたから」
「その代わり、私は社交界で変人扱いです」
この帝国では等しく動物嫌いになるような教育がされている。その中でシャルロッテは異端だろう。
「子どものころのことなんですけど、犬に助けてもらったことがあるんです」
「犬に?」
「はい。大きな犬に! あまり覚えていないのですが、森の中で一人で迷ってしまっていたら大きな犬が現れたんです」
小さいころのことだからはっきりとは覚えていない。けれど、あの時の星のように黄金に輝く二つの目はいまだに忘れられないのだ。
「そんなことが?」
「はい。夜の森の中は寒くて。でも、犬が一緒に眠ってくれたんです。それがとても暖かくて心地よくて……」
大きな犬に抱き着くようにして眠った記憶がある。
あの時の感触がずっと忘れられずにいた。動物はこわいと教えられていたけれど、優しくて暖かかったのを覚えている。
それ以来、シャルロッテはもふもふの虜なのだ。
ずっと抱きしめていたい。
「幼いころに森の中で迷子ですか。それは辛い経験だったでしょうね」
「それがあまり覚えていないんです。両親は話題に出したがりませんが。だから、幸せな思い出なんですよ」
シャルロッテは一晩森の中で過ごし、朝になって見つかった。だから、両親にとっては思い出したくないような記憶なのだろう。
両親の気持ちがわからないでもないので、シャルロッテはその話はあまりしないようにしている。
「どうして動物が好きなのかなんとなく理解していただけましたか?」
「ええ、とても。その大きな犬に感謝しなければなりませんね。あなたがいなければ、私たちはお手上げでしたから」
「その代わり、私は社交界で変人扱いです」