カタル・アロンソとシャルロッテ・ベルテの婚約は大きく新聞に取り上げられた。あの『冷酷悪魔』と『変人令嬢』の結婚だ。新聞が放っておくわけがない。
シャルロッテがカタルの求婚を受け入れてから、アロンソ家とベルテ家で何度も話し合った結果、まずは婚約からという運びになった。
求婚してすぐに嫁入りは外聞が悪すぎる。という話らしい。そして、結婚式の準備にも時間がかかる。一年は準備に時間を掛けたいと両親は主張した。
シャルロッテからすれば、結婚式など簡易的にして今すぐにでも構わないのだが。そして、カタルとしても今すぐ来てほしい様子だった。
継母が早急にほしい理由があるのだろう。
互いの希望や都合を話し合った結果、結婚自体は一年後とし、シャルロッテはいわゆる花嫁修業という名目でアロンソ家の屋敷に住むことになったのだ。
カタルのエスコートで馬車を降りたシャルロッテは、思い出し肩を揺らした。
彼が不思議そうに黄金の瞳を揺らす。
「どうした?」
「いえ、先日のことを少し思い出して」
カタルはシャルロッテを早く妻に迎えるため、『こんなにも愛しているのに、一年もまてるわけがない』と真面目な顔で言ってのけたのだ。
迫真の演技に、シャルロッテのほうが恥ずかしくなった。
あの日はシャルロッテの人生の中でも一、二を争うほどの恥ずかしさだったのだ。カタルの手を取ったことを後悔しそうになるほどに。
アロンソ公爵邸は王都の中心部にある。
鉄製の大きな門。左右には二人の屈強な騎士が無表情で立っていた。何人たりとも入ることは許されない。そんな厳かな雰囲気すら感じる。
門の奥は美しい庭園が広がっていた。
「今日からここで暮らす。シャルロッテ・ベルテ嬢だ。顔を覚えておくように」
カタルが言うと、二人の騎士が伸びていた姿勢を更に正し、揃った声で「はっ」と短く返事をした。
シャルロッテは慌てて頭を下げる。
「どうぞよろしくお願いいたします」
シャルロッテがカタルの求婚を受け入れてから、アロンソ家とベルテ家で何度も話し合った結果、まずは婚約からという運びになった。
求婚してすぐに嫁入りは外聞が悪すぎる。という話らしい。そして、結婚式の準備にも時間がかかる。一年は準備に時間を掛けたいと両親は主張した。
シャルロッテからすれば、結婚式など簡易的にして今すぐにでも構わないのだが。そして、カタルとしても今すぐ来てほしい様子だった。
継母が早急にほしい理由があるのだろう。
互いの希望や都合を話し合った結果、結婚自体は一年後とし、シャルロッテはいわゆる花嫁修業という名目でアロンソ家の屋敷に住むことになったのだ。
カタルのエスコートで馬車を降りたシャルロッテは、思い出し肩を揺らした。
彼が不思議そうに黄金の瞳を揺らす。
「どうした?」
「いえ、先日のことを少し思い出して」
カタルはシャルロッテを早く妻に迎えるため、『こんなにも愛しているのに、一年もまてるわけがない』と真面目な顔で言ってのけたのだ。
迫真の演技に、シャルロッテのほうが恥ずかしくなった。
あの日はシャルロッテの人生の中でも一、二を争うほどの恥ずかしさだったのだ。カタルの手を取ったことを後悔しそうになるほどに。
アロンソ公爵邸は王都の中心部にある。
鉄製の大きな門。左右には二人の屈強な騎士が無表情で立っていた。何人たりとも入ることは許されない。そんな厳かな雰囲気すら感じる。
門の奥は美しい庭園が広がっていた。
「今日からここで暮らす。シャルロッテ・ベルテ嬢だ。顔を覚えておくように」
カタルが言うと、二人の騎士が伸びていた姿勢を更に正し、揃った声で「はっ」と短く返事をした。
シャルロッテは慌てて頭を下げる。
「どうぞよろしくお願いいたします」