風馬に無理やり誘われて、半ば強制的に参加した初めての合同コンパ、いわゆる合コン。

行く前に部室で部活仲間の橋本陽向に愚痴をこぼしていたんだっけ。

「陽向ー、行きたくねえよ。…早く帰って愛に会いたい…」

女子と話す話題なんて、わからない。

今日は玲の当番の日だから、きっとカレーかハヤシライス。

「また律はシスコンだな、ほんと。」

陽向は呆れたように笑う。

「陽向だってシスコンじゃん!」

「夏鈴はいんだよ、それに俺は彼女いるし。」

そう、高校一年生の妹、愛を溺愛する俺と同じく中学二年生の妹である夏鈴ちゃんを溺愛する陽向と俺の、決定的な違い、それは彼女がいるか、いないか、ということ。

陽向にはなんと中学一年生の時から付き合っているという彼女がいる。

同じ大学で、陽向と同じの教育学部の水橋咲智ちゃん、というらしい。

「律もモテるんだから、そろそろ彼女作ってみれば?一回くらい付き合ってみなきゃわかんねえよ。」