「…何、嫌なの?嫌なら離すけど。」

そっぽを向いていう一ノ瀬君の顔は、きっとあたしと同じように赤い。

「離さない!」

細い一ノ瀬君だけど、手はちゃんと男の子の手。

大きくて、あたしの手を包み込んでしまう。

「一ノ瀬君、大好き…」

「は?」

や、やだ!

あたしったらまた思ったことをすぐに口にしちゃう!

この癖、どうにか直したいよ!

馬鹿みたい!

一ノ瀬君は目を丸くしてあたしを見てるし…

「…変なの。」

本日二回目のキラースマイル、いただきました!

今日は贅沢し過ぎちゃったかも。

るんるん気分で歩いていると、一ノ瀬君は急に立ち止まった。

そして、今日最高の贅沢をあたしにくれた。

それは彼が耳元で囁いた言葉。

初めて言われた、言葉。


「…俺も、好きだよ。」



------------- END -------------

はじめてのデート【完】