なんでみんなこんなに合コンやコンパで楽しめているのに、私にはそれができないのかな。

彼氏がいないのとそんなに変なことなのかな。

私だって、いつかは恋したりしてみたいけど、恋なんでしようと思ってすることじゃないと思うしな…

なんてこんなこと思ってる時点でダメなのかもね。

…もう帰ろう…

トイレを出ると、壁によっかかって携帯を見ている男の人が立っていた。

携帯を見ながらニコニコしてるその彼は、さっきまでガチガチになっていた一ノ瀬君。

何見てるんだろ、すごく楽しそう。

できれば邪魔をしないように通りたいけど、ここは狭い店だから声をかけないと通れない。

「すっ、すみません…」

「あっ、すみません!」

その拍子に一ノ瀬君が持っていた携帯が床に落ちた。

「「あっ!」」

とっさに拾おうとして、それが同時になっちゃって、頭がゴンッとぶつかっちゃった。

「ごめんなさい!」

「いえ、こちらこそ、ごめんなさい!」