誰なんだろう。

「そういう真ちゃんは?聞いたよ、モテモテなんでしょ!」

「俺?俺は…うん、俺はみいが好き。」

サラリと、何でもないように言い放った真。

まただ。

また真に先を越されてしまった。

先に言われてしまった。

俺がグズグズしてるから。

もしかしたら、少しだけ期待していたのかもしれない。


真よりも俺のほうがみいのこと、知ってる。

真よりも俺のほうがみいと会ってる。

だけどそんなこと、何にもならなくて。

「へ?し、真ちゃ…」

「俺、ずっとお前のこと好きだから。」

もう一度そうはっきりと言った真。


俺はただ、ドアの向こうの二人を眺めることしかできなくて。

ほんと、意気地なし。

いつだって俺は、赤のヒーローから逃げていたんだ。

自分から行動する赤のヒーローの影に隠れて青のヒーローが自分のポジションだって思い込んでいた。

だけどそんなの、都合のいい理由付け。