「どうぞ、この本ですよね。」

その声がする方を見上げると、そこにはとても綺麗な顔立ちの男の子。

私が取ろうとしていた本を差し出し、穏やかに笑う。


この笑顔、どこかで見覚えが…

大きな目、整った顔立ち。

少し茶色っぽい髪の毛、全体的に色素の薄い…


「…もしかして、みい?」

先に口を開いたのは、男の子。

私の名前、未来を『みい』と呼んだのは二人だけ。

「ゆ、優ちゃん…!」

「やっぱり、みいだ。久しぶりだね!」

変わらない、優しい笑顔。

あの頃よりもだいぶ低くなった声と高くなった身長。

「優ちゃん!懐かしいね!元気だった?」

「うん、みいは?いつ帰ってきたの?」

優ちゃん、一ノ瀬優君。

わたしが七年前、日本に住んでいた頃の幼なじみの男の子。

家が隣で、毎日のように遊んでいた。

いつもその名前のとおりに優しくて、私のことを助けてくれて。

実を言うと、私の初恋の人。