幼なじみってなんだか特別な響きに聞こえる。

あたしにも幼なじみはいるけど。

うん、ここにいるわ。

でも、二人の間には入り込めないような深い関係が見える。

「あっ!俺達用事あるんだ!ほら、帰るよ!兄ちゃん!」

「何だよ、用事って…」

「今日姉ちゃんが帰りにシャンプー買ってこいって言ってたろ!ほら、早く!じゃ、真先輩、失礼しまーす!」

葉が梓君の腕を引っ張る。

…もしかして、あたしに気を遣ってくれてる?

「じゃあな!寺嶋!」

そして、真先輩はズルい。

だってあんな笑顔、向けられたらまた好きになっちゃう。

あたしが大好きな、その笑顔。

梓君は帰りに参考書を選んでもらうとウキウキでどこかへ行ってしまった。

聡太、葉、あたしの三人になる。

「葉さ、気遣うならもうちょっと上手いこといいなよ。真先輩に変に思われるじゃん。」

「な、なに!?俺がせっかく気を遣ってやったのに!な、聡太!」