「ほーのか、なんか元気ねえじゃん。」

「なんだ、葉か…」

いつも能天気そうな葉。

最近の悩みはこの前の身体測定で一ミリしか身長が伸びてなかったことらしい。

「もうすぐ夏合宿だなー。俺、合宿とか久しぶりで超楽しみ!」

「ねー、楽しみ。」

「おまっ…なんだよ、そのやる気のなそうな返事は!しっかりしろよな、マネージャー!」

だってさー…

ん?

夏合宿!

そうだ!

この一大イベントを忘れてたよ!

これはチャンスじゃん!

だってずっと真先輩と一緒にいられるんだよ!

「よっしゃ!気合入れてこ!!」

「お、おう!そうだぞ!」

寺嶋帆華、この夏のチャンス、絶対に逃してなるものか!


そしていよいよやってきた夏休み。

合宿があるのは8月の始め。

それまでは普通に部活やら補修やらでなんやかんや夏休みと言いつつ毎日学校に行っていた。

ある日の部活終わりの帰り道、あたしは家が近い葉と聡太と、そしてなぜか補修終わりの梓君と一緒に帰っていた。