目を開けるとこちらを見つめる一ノ瀬君。

「やっとこっち向いてくれた。」

その笑った顔に、また泣きそうになる。

大事なことは目を見て言わなきゃ。

そうだよ。

「一ノ瀬君、好きです…」

今度はちゃんと、目を見て真っ直ぐに。

もう、逸らさないから。

もう、逃げたくないから。

いや、逃げられないから。

あたしは一ノ瀬君の、瞳にちゃんと映りたい。

「ありがとう、秋山さん。」

一ノ瀬君から一歩、あたしに近づく。

「好きだよ、秋山さん。付き合ってください。」

その言葉に、ついに決壊する涙腺。

抑えてた涙がボロボロ頬を伝う。

「泣かないで!秋山さん!」

嬉しくて泣くことなんて試合で勝ったとき以来かもしれない。

笑いたいのに止まらない。

「そうだ、これ!」

一ノ瀬君が何かをあたしの手に押し込む。

広げてみると、そこにあったのはいちごみるくの飴。

「この飴、東京で買ったんだ。秋山さんにあげたいなって思ったから。」

そして東京タワーの形をした可愛い缶ケースを差し出した。