き、きたっ…!

「ごめんね、おまたせ。」

近づいてくる気配が背後からする。

ドキン、ドキンって心臓がうるさい。

落ち着け、大丈夫。

あたしは振り返った。

夕焼け空がその瞳に反射して、世界で一番きれいな宝石みたい。

何が世界で一番なのかは知らないけど、あたしの中ではきっとこの宝石だ。

「…あの、あのね。」

声も、手も、足も震える。

怖い。

怖いよ。

目をぎゅっとつむる。

…いけ、あたし!

「あたし、一ノ瀬君が好き。」



…言っちゃった。

怖くて目が開けられない。

だってきっと、その真っ直ぐな瞳にはあたしが映ってる。

堂々としてたいくせに、今は怖くて目が開けられない。

数秒の沈黙。

「秋山さん、こっち向いて。」

一ノ瀬君がいう。

でも…

「秋山さん、大事なことはちゃんと目を見て言わなきゃ。俺もそうしたいから。」

…えっ?