少し元気がなさそうに見えたから、レモンの思いっきり酸っぱい飴をあげたんだ。

あの飴は今も持ってる。

昔からお守りみたいなもの。

大事な試合の前、テストの前、舐めると頭がスッキリするの。

だけどもう、頼りたくない。

弱虫なあたしじゃ、いられない。

そんなあたしじゃ、好きな人の隣に堂々と立てないから。

コンプレックスもたくさんある。

それは今だって変わらないけど、でもそれを少しでもあたしが肯定してあげなきゃ、いつまでもそのままのうじうじしたまんまだから。

そう気づかせてくれたのは一ノ瀬君なんだ。

一ノ瀬君を好きになってからあたしの世界は変わった。

ビー玉みたいな目に映るだけで、嬉しくなったり、ソワソワしたり、落ち着かなくて。

今だって怖い。

すごく怖い。

断られたら、どうしよう。

もう友達ですらいられなくなっちゃうかもしれない。

だけど、友達のままじゃだめなんだ。

あたしは、一ノ瀬君の好きな人になりたいから。

あたしが告白しなきゃ、その可能性もなくなっちゃうから。