「咲耶ー！」

後ろからぎゅっと誰かに抱きつかれる。

「エマ、どうしたの？」

「最後の買い出し行くんでしょ？直がどうしてもバンドの予行とかぶっちゃって行けないから代わりにあたしが行くことになりました！」

今日は文化祭前日。

明日からいよいよ高校に入って初めての大きなイベント、文化祭が始まる。

今日まではなかなか大変なことが多かったけど一ノ瀬君と委員ができてたくさん話せて嬉しかった。

少しずつ一ノ瀬君との距離も近づいてきてるような気がしてた。

「そうなんだ、ありがとうね。」

「あたし暇なの！みんな部活の準備行っちゃったし。咲耶はバスケ部でなにかないの？」

「今年はないんだ。一年ごとにしてるみたい。」

うちの学校は全部の部がお店を出すと費用も場所も大変なことになるから毎年一年ごとに部ごとに交代で出店を出すらしい。

今年は文化部の年だから一ノ瀬君所属の軽音部はステージ演奏に加え出店の用意もあるからすごく忙しいみたい。