「次はどこいく?秋山さん食べたいものある?」

食べたいもの、かぁ。

部活の後から何も食べてないからお腹はすごく空いてるはずなのに緊張と浴衣の帯のせいであんまり空腹を感じない。

たこ焼きやお好み焼きは大好きだけどソースや青のりで汚れちゃいそうだし、あんまりガッツリ食べたらひかれないかな?

さっきくるみが持ってたのはりんご飴だったっけ。

「あ、わたあめ。」

わたあめなんて普段はスルーなのになんとなく目に入ってきて呟いてしまう。

「わたあめ?あ、コットンキャンディか!待ってて、買ってくるから!」

そういうと一ノ瀬君はさっとわたあめの屋台の列に並んだ。

「はい!」

顔くらいある大きなわたあめ。

わたあめなんて食べるの、いつ以来だろう。

「お金…いくらだった?」

「俺が買ったの半分こしよ!ほら、ちぎって食べよ。」

一つのわたあめを半分こなんて、まるでなんだかカップルみたいだ。

一ノ瀬君はそういうの、気にしないみたい。

あたしばっかり意識しちゃって恥ずかしいな。