一ノ瀬君はあたしがさっき釣ろうとした赤いヨーヨーの近くに糸を垂らす。

「…っ…」

バシャッ！

「「あー…」」

惜しかった！

「残念だったね…」

「もう一回！」

一ノ瀬君はさっと１００円を取り出してお店のおじさんに渡した。

「…ふっー…」

慎重に糸を釣り上げるその姿にあたしまで思わず息を止めてしまった。

「…やった！」

見事赤いヨーヨーが釣れた！

「良かったね！」

「うん！これどうやって遊ぶの？」

外国にはヨーヨーってないのかな？

あってもあの紐の先に丸い駒みたいなのがついてるやつなのかな？

「この輪ゴムに指を通して、こんな感じで跳ねさせるの。」

バシャバシャという水音と、手のひらに当たるひんやりとした感覚が懐かしい。

ヨーヨー釣りとかスーパーボールすくいって小さい頃はすごく魅力的に見えたけど大きくなったらしないもんだから。

「へえ！なるほど！」

無邪気に楽しそうにヨーヨーで遊ぶ一ノ瀬君。

なんだかかわいいって思っちゃう。